謎を作ること ―ユメノシマ編

謎解きを作成するのもまた旅人也。編集後記。『ユメノシマから謎解きを。』の謎解きをどのように作ったのかをつぶやきます。

パズルに挑戦しました！

はじめに

この記事ではこちらの謎解きを実装するまでの、作成者の目線での手記を紹介します。なお、「私の謎解きの作り方」であるため、他の作成者様も同じであるとは限りません。一人ひとり、考え方は違うものです。
なお、ここは『ユメノシマから謎解きを。』のネタバレ全開です。実際にプレイしてみたい方は、こちらからどうぞ。

やりたかったこと

パズルは謎解きなのか、確認したい。

作成時の方針

前提条件 ―やりたいこと

まずは前提条件＝やりたいことを列挙します。

前提：「パズルをつくる」

パズルをつくったことがない。苦手だからだ。でもつくってみたさはある。じゃあつくってみよう、一度くらい。そんな気持ちで設定しました。

制限 ―絶対厳守すること

次に制限＝絶対に厳守することを列挙します。

制限①：「Web上で出来ること」
制限②：「スタッフは私のみ」

シン制限

ここで制限をアップデートします。(このことを、制限をより深く(具体的に)、新規に設定することから「シン制限」と勝手に私は言っています)。シン制限は、前提条件または制限にスタッフの特長(趣味/特技)を加味して、具体的に設定します。

前提：「パズルをつくる」＋
制限①：「Web上で出来ること」
制限②：「スタッフは私のみ」
⇒シン制限①：平面(画像)だけでパズルができること。さらにチェッカー(チェックポイントで回答が合っているか確認する役割を持つ人物)は最終回答だけとする。それ以外はパスコード入力で自動化する。

謎解きの作成

「シン制限」の範囲内で、謎解きのストーリーを作成します。ここは思いつきです。

大枠 ―思いつきの書き出し

「シン制限①：平面(画像)だけでパズルができること。さらにチェッカー(チェックポイントで回答が合っているか確認する役割を持つ人物)は最終回答だけとする。それ以外はパスコード入力で自動化する。」　の範囲内で考えてみよう。

できるだけとっつきやすいモチーフを使ってパズルを作りたいな。ドーナツとか洋ナシとか。
⇒【大枠の決定事項①】とっつきやすいモチーフを使う。
謎解きはホームページだけで完結させたい。
⇒【大枠の決定事項②】ホームページですべて完結させる。

大枠を具体化する

＠お風呂のなか
なにを題材にしよう。構造式にしようかな。パズルつくったことないから、反応式なら一意でいけそう。デザイン、創薬っておもしろそう。デザインって大事よな、アイデアも大事よな。

創薬デザイン研究センター

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所

具現化 ―小謎～ギミックの作成

チェッカーが人力(じんりき)では無理なので、入力フォーム(正誤判定フォーム)を用意しよう。ティーポッド式で日本語にも対応させようか。

web謎の入力フォームの作り方

私営謎屋敷

有名な反応式とはなんだろう。
アセチルサリチル酸かな。世界で初めて人工合成された医薬品。これが模擬的につくれたらおもしろそう。

バイエルアスピリン

Bayer AG

反応場を「畑」、構造を「素材のなまえ」に落とし込もう。これ、やってること大学の化学レベルになるけど大丈夫かな？
フェノールに(高温高圧下で)二酸化炭素・水酸化ナトリウムと反応させて、サリチル酸のナトリウム塩、その後に希硫酸処理でサリチル酸を生成。サリチル酸に無水酢酸を作用させて酢酸とアセチルサリチル酸を生成。
これが、謎解きのパズルになるなんて。

ちなみに背景がやや赤紫色っぽいのは、フェノール類を塩化鉄(FeCl3)水溶液に入れると起こる呈色反応を参考にした。ちなみにフェノールの場合は紫色、サリチル酸の場合は赤紫色、o-クレゾールの場合は青色。