はじめに
ここではこちらの謎解きをリアル公演として実装するまでの、作成者の目線での手記を紹介します。なお、「私の謎解きの作り方」であるため、他の作成者様も同じであるとは限りません。一人ひとり、考え方は違うものです。
なお、ここは『結婚式二次会で「謎解き」を。』のネタバレ全開です。実際にプレイしてみたい方は、こちらからどうぞ。WEB版です。
作成時の方針
リアル公演を行うにあたっての「方針」、というか「制限」がありました。しかし、「制限」というものは実はとても便利なものでして、逆に「何をすれば良いのか」がはっきりするものです。
前提条件 ―やりたいこと
まずは前提条件=やりたいことを列挙します。
前提①:「結婚式二次会でオリジナルのイベントをやりたい」
前提②:「参加してくださる方と、出来るだけ絡みたい」
前提③:「司会をやってくれる人に、いろいろな人と話すことに慣れて、自分に自信をつけてほしい」
制限 ―絶対厳守すること
次に制限=絶対に厳守することを列挙します。
制限①:「イベント時間は全体で45分間」
制限②:「スタッフ側は、新郎新婦、司会2名、PC操作1名(私)」
制限③:「全員が対面できる事前打ち合わせは2回のみ」
ここまでは、第1回の全員が対面できる事前打ち合わせで確認しました。
シン制限
ここで制限をアップデートします。(このことを、制限をより深く(具体的に)、新規に設定することから「シン制限」と勝手に私は言っています)。シン制限は、前提条件または制限にスタッフの特長(趣味/特技)を加味して、具体的に設定します。
前提①:「結婚式二次会でオリジナルのイベントをやりたい」+
新郎新婦の特長:ボードゲームが好き。謎解きは興味あり。
⇒シン制限①:あるボードゲームのルールに従って「謎解き」をする
前提②:「参加してくださる方と、出来るだけ絡みたい」 +
前提③:「司会をやってくれる人に、いろいろな人と話すことに慣れて、自分に自信をつけてほしい」
⇒シン制限②:イベント内に新郎新婦/司会との絡みを入れる
制限②:「スタッフ側は、新郎新婦、司会2名、PC操作1名(私)」 +
制限③:「全員が対面できる事前打ち合わせは2回のみ」
⇒シン制限③:ゲームマスター(ゲーム中の司会者[私])以外には、重要な役目を負わせない=ゲームマスター以外は参加者側とみなす
まとめると、
シン制限①:あるボードゲームのルールに従って「謎解き」をする
シン制限②:イベント内に新郎新婦/司会との絡みを入れる
シン制限③:ゲームマスター以外は参加者側とみなす
謎解きの作成
「シン制限」の範囲内で、謎解きのストーリーを作成します。ここは思いつきです。
大枠 ―思いつきの書き出し
シン制限②:イベント内に新郎新婦/司会との絡みを入れる+シン制限③:ゲームマスター以外は参加者側とみなす の範囲内で考えると、ラス謎の答えは新郎新婦との絡みにしよう。ここは結婚式二次会なので、新郎新婦を祝ってもらおう。
→【決定】ラス謎の答えは、新郎新婦を祝うこと
司会との絡みを入れよう。司会にはいろいろな人と絡んでほしい(前提③)ので、答えは幅のあるものにしよう。司会って大変だから、褒めてもらいたいよね。そうしよう。
→【決定】司会の絡みは、司会を褒めること
ラス謎は新郎新婦のもとに向かうけど、そもそもイベントの最初に新郎新婦と絡んでほしいな。じゃあ、最初の絡みは新郎か新婦。
→【決定】最初の絡みは、新郎か新婦
⇒【大枠の決定事項①】STEP1は新郎か新婦との絡み。STEP2は司会を褒めてもらう。STEP3は新郎新婦を祝ってもらう。
シン制限①:あるボードゲームのルールに従って「謎解き」をする の範囲内で考えると、今まで新郎新婦と一緒にやったボードゲームってなんだろう。あの六角形のヤツ、ワイナリー、地図作るヤツ、あと何個か。一番有名なヤツにするか。ルールが単純化できるヤツ。えっボードゲーム好きの参加者もいるの?じゃあ、あの六角形のヤツでいいか。
→【決定】あるボードゲームは、あの六角形のヤツ
ボードゲームのルールを改めて見返してみよう。んー「道」を作ってもらって、「建物を改築」してもらって、「発展カード」を使ってもらおうかな。(建物をカードを使って作ってもらう、という部分はカットしています。実は2018年に実際に行ったものにはコレも入れているのですが。。。)
→【決定】「道」づくり、「建物の改築」、「発展カード」の利用を入れ込む
⇒【大枠の決定事項②】あの六角形のヤツのボードゲームで、「道づくり」、「建物の改築」、「発展カードの利用」をさせる。
会場には、テーブルがチーム数あるとは限らない。コピー用紙ってテーブルか壁が無いと書きにくいんだよなー。じゃあ一つ下敷きになるような厚いものを用意しよう。ダンボール板のようなもの。それなら、その厚みを利用して何か仕掛けよう。
→【決定】厚みのあるダンボール板を使う
コピー用紙だけだと、あんまり面白みが無いかなー。チームでやってる感を出したい?んー、じゃあシール使おうかな。ペタペタするのって意外と楽しいのよね。
→【決定】シールを使う
⇒【大枠の決定事項③】厚みのあるダンボール板、シールを使う。
まとめると、
【大枠の決定事項①】STEP1は新郎か新婦との絡み。STEP2は司会を褒めてもらう。STEP3は新郎新婦を祝ってもらう。
【大枠の決定事項②】あの六角形のヤツのボードゲームで、「道づくり」、「建物の改築」、「発展カードの利用」をさせる。
【大枠の決定事項③】厚みのあるダンボール板、シールを使う。
ここで、更に大枠を作り上げる。@お風呂のなか
STEP3は、コピー用紙だけでは出来ない「驚き」を入れよう。そうだ、ダンボール板の中に情報を隠して、それを見つけてもらおう。シールも使うから、シールをはがしたら見つかるようにしよう。となると、「シールが貼ったりはがしたり出来ること」を参加者に理解してもらう必要があるな。これはどこかで絶対入れよう。
STEP1は、「状況整理」によるチーム感の創出をさせよう。あとはボードゲームのルールを理解させるために「道づくり」をさせよう。答えは、新郎か新婦との絡みにする。例えば、新婦にキレイと言えとか。新婦とダンスしろとか。
STEP2は、謎解きをやった感を出すために「ひらめき」を必要とする問題を少し入れよう。最終的にはシールを使わせるようにしよう。ここで「シールを貼ったりはがしたり出来ること」を体感させようか。あと、ボードゲームとして「建物の改築」を行わせよう。
となると、STEP3では「繰り返し」(ふたたび過去にやった動作をさせること)をやらせようかな。ボードゲームとしては「発展カード」を使わせよう。では、一旦ボードゲームの楽しいところを考えよう。―――そうだ、「ロンゲスト・ロード・カード」だ! このカードせいで、何回苦杯をなめたことか!
では、まとめよう。
STEP1ではなんらかのピンチで、新郎新婦チームを助けることになった。新婦を元気づける必要があり、そのためには「道づくり」(道を元に戻すこと)をしなければならない。そこで出てくる言葉は、「新婦にキレイと言え」にしよう。
STEP2では、「シールを貼ったりはがしたり出来ること」を体感させるために、「文字の盤面」を作ろうか。出てくる言葉は、「司会を褒めろ」かな。
そしてSTEP3ではライバルチームに「ロンゲスト・ロード・カード」の効果を取られてしまい、ふたたびピンチになる状況を作ろう。そして、ふたたび「文字の盤面」を使わせる。出てくる言葉は、「シールはがせ」。最初から持っていたダンボール板から発展カードが出てきて、驚き! あとは流れで、他の用紙もふたたび使えればいいな。 (のぼせたので、お風呂から移動)
具現化 ―小謎~ギミックの作成
今までまとめてきたものを、実際にキットとして作成していきます。
まずは、ボードゲームのルールを知らない人が絶対いるので、「ルール」を作成。そこに発展カード置き場も作ることにする。としたら、ここをはがさせることにしようか。じゃあ「はがしやすく」しないと。でも「配布直後にはがされないように」しないと。手作り感(オリジナル感とも言う)を出すために、ダンボール部分を見せてペタペタシールで貼ってしまおう!
とりあえず、STEP3のギミックは後で考えることにして、文字の盤面を作ってしまおう。STEP2の答えは、「司会を褒めろ」だったな。じゃあ、シールをはがして貼ってもらうようにしよう。
1個分、移動させるようにしようかな。んーじゃあライバルチームの点数分を移動させるようにしようか。となると、ライバルチームは他の参加者チームには出来なくなるから、「司会チーム」ってことにしよう。それで、ふたたび盤面を使わせるようなルールにしてしまおう。それなら、司会チームが4点になったって状況にしちゃおう。確か、参加者は鳥のマークのヤツで知り合った人も来るとか来ないとか言ってたなぁ。じゃあそれにしよう。
絵心ってどうやったら身につくんだろう。―――さて、もうほとんど出来たな。あとは文字の盤面(=ヒミツの厚紙)の色付きマスが答えになる謎解きを作ろう。答えは、ハワイ、シカイ、メロンかな。ハワイはもう書いてあることにして、2問だけ作ろう。STEP1で新婦と絡むから、STEP2のここでは1問は新郎関係のヤツにしようか。解くための情報はSTEP1に入れておこう。もう1問はボードゲームのルールをより理解できるようなものにしようか。ロンゲスト・ロード・カードを使うんだった。じゃあ「道」の謎解きにしよう。
じゃあ、ボードゲームで使う「地図」を作ろうか。確か、新郎新婦は東京都出身だったな。じゃぁ東京ネタを入れておこうかな。STEP2のミッションは「建物の改築」だったな。じゃあ新郎新婦の家を改築させるか。STEP3では司会チームにロンゲスト・ロード・カードの効果が奪われるから、こういう状況にしちゃおう。これで、「Q2」がかなり重要になるなー。
となると、各ステップのまとめはこんな感じかな。あとは矛盾のないように今までの作成物を修正しよう。
あとはSTEP1。んー「道づくり」(道をもとに戻すこと)をさせるから、こんな感じかな。チーム感の創出もしなきゃいけないので、みんなで見る必要があるような感じにしよう。あれ、新郎新婦チームの点数が1点足りない。発展カードでなんとかしよう。これをゲーム開始前に貼ってもらおう。これで、貼ってはがせるシールがあるという認識を持たせられるな。
全体を通して、STEPのクリアチェック用カンペを作ろう。か
さて、ラス謎のギミックを本格的に作らなくては。発展カード、発展カード、ハッテンカード―――8点カード!? そうか、8点カードってことにしよう。「新郎新婦を祝う」という指示にしよう。んー「新郎新婦におめでとうと言え」にしようかな。ゲーム開始前に発展カード「1点GETカード」を貼ってもらうから、ここに何か仕込もう。新婦のイチオシとかかな。あとはギミックを成立させるために今までの作成物を修正しよう。
よーし謎解きが出来たぞー。あとは、ゲーム開始前のスライド、ゲーム中のヒントのスライド、ゲーム終了後のスライドを準備しよう。(これらのスライドはこちらにあります。)
デバック
ここで、第2回の全員が対面できる事前打ち合わせです。試しにキットとスライドを持っていき、一度解いてもらいました。
正直、ここが一番重要です。めちゃくちゃ参考になるところです。「どこを修正すればよいのか」が最も鮮明になります。そして、極力立ち会った方が良いです。理由としては、「どこでつまずくのか」が鮮明になるからです。デバックをして頂いた方は、デバック終了後に「特につまずいたところ」を指摘してくださいます。一方で、ほんのちょっとだけつまずいたポイントは気にしていないことがあります。これは決して、デバックをして頂いた方が悪いのではありません。むしろ、ほんのちょっとだけつまずいたポイントは作成者が気づくべきところです。デバック中に、プレイヤーの些細な表情の変化を読み取ってください。ここを修正するかどうかで謎解きの全体の評価が大きく変わります。
デバックは、やればやるほど、謎解きが洗練されていきます。
最後に
私の作った手順を紹介させていただきました。お読みいただきありがとうございました。なお、今回は新郎新婦より依頼があって作成をしましたが、この謎解き自体は、新郎新婦に限らずどなたでもご利用ください。
あーありがとうございますー! 今、1年分のデバックをいただきました! ありがとうございますー! こんなんなんぼあってもいいですからね! ―――完
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