編集後記。『学園祭で「謎解き」を。』の謎解きを作ったときの感想等をつぶやきます。
はじめに
ここではこちらの謎解きをリアル公演として実装するまでの、作成者の目線での手記を紹介します。なお、「私の謎解きの作り方」であるため、他の作成者様も同じであるとは限りません。一人ひとり、考え方は違うものです。
なお、ここは『学園祭で「謎解き」を。』のネタバレ全開です。実際にプレイしてみたい方は、こちらからどうぞ。WEB版です。
作成時の方針
リアル公演を行うにあたっての「方針」、というか「制限」がありました。しかし、「制限」というものは実はとても便利なものでして、逆に「何をすれば良いのか」がはっきりするものです。
前提条件 ―やりたいこと
まずは前提条件=やりたいことを列挙します。
前提①:「クラスメイトと仲良くしたい(=クラス企画としてやりたい)」
前提②:「外部の人と仲良くなりたい(=連絡先が知りたい 笑)」
前提③:「外面[ソトズラ]を良くしたい(=評価を上げたい 笑)」
もう、下心しかありません。
制限 ―絶対厳守すること
次に制限=絶対に厳守することを列挙します。
制限①:「スタッフ全員が謎解きの内容を全部理解する必要を無くす」
; 内容を理解できない人は絶対いるので(部活が忙しい等の理由で)。
制限②:「使用できるものは、学校にあるもののみ」
制限③:「使用できる会場は一部屋のみ」
制限④:「予算はおよそ3000円」
シン制限
ここで制限をアップデートします。(このことを、制限をより深く(具体的に)、新規に設定することから「シン制限」と勝手に私は言っています)。シン制限は、前提条件または制限にスタッフの特長(趣味/特技)を加味して、具体的に設定します。
前提①:「クラスメイトと仲良くしたい(=クラス企画としてやりたい)」+
前提②:「外部の人と仲良くなりたい(=連絡先が知りたい 笑)」+
制限①:「スタッフ全員が謎解きの内容を全部理解する必要を無くす」
⇒シン制限①:一人ひとりには「準備をするメンバー」と「当日運営のメンバー」の2役を行わせる。謎解きの内容を全部理解する人は、「当日運営のメンバー」の「シナリオライター」だけにする。
; 2役にすることで、それぞれのチームでクラスメイトが別々になる=交流が生まれる。また、「当日運営のメンバー」のポジションを全員が担うことで、外部の人と交流するチャンスを必ず与える。さらに「当日運営のメンバー」は、謎解きの中身を理解する必要のない完全な「演者」だけのポジションを用意することで、極力全部理解する人を減らす。万全な体制にするために各役割のフローチャートを作成し、それをロールプレイするだけで当日が成り立つようにする。
前提③:「外面[ソトズラ]を良くしたい(=評価を上げたい 笑)」+
制限②:「使用できるものは、学校にあるもののみ」+
制限④:「予算はおよそ3000円」
⇒シン制限②:謎解きの内容を「学校プロモーション」になるようなものにする。
; 「学校プロモーション」になることを諸先生方にご説明することで、予算を学校負担にできる可能性がある(大きい声では言えないが)。また、先生方も協力的になっていただくことで、プリンター等を借りやすい状況にする。
制限③:「使用できる会場は一部屋のみ」+
スタッフの特長:たくさん人手がある
⇒シン制限③:会場をダンボールで区分けすることで、人の流れをつくる
まとめると、
シン制限①:
一人ひとりには「準備をするメンバー」と「当日運営のメンバー」の2役を行わせる。謎解きの内容を全部理解する人は、「当日運営のメンバー」の「シナリオライター」だけにする。
シン制限②:
謎解きの内容を「学校プロモーション」になるようなものにする。
シン制限③:
会場をダンボールで区分けすることで、人の流れをつくる
謎解きの作成
「シン制限」の範囲内で、謎解きのストーリーを作成します。ここは思いつきです。
大枠 ―思いつきの書き出し
シン制限①:
一人ひとりには「準備をするメンバー」と「当日運営のメンバー」の2役を行わせる。謎解きの内容を全部理解する人は、「当日運営のメンバー」の「シナリオライター」だけにする。 の範囲内で考えると、完全にすべての作業工程を決めてしまわないとダメかなー。そして、完全に演者(動くだけの人)とチェッカー(回答を確認して次のステップに誘導する人)を分けよう。そして、チェッカーもできるだけ簡単にしよう。
→【決定】作業工程をすべて作成する。
→【決定】演者だけの配役を用意し、さらにチェッカーも出来るだけ簡単に。
ただ、完全に作業工程が決められていると、誰かから反発がありそうなので、会場設営等の「準備」作業は、チーム毎に考えてもらう形にしよう。
→【決定】「準備」作業は、考える余地(自由度)のある内容にする。
前例のない、新しいイベントになるから、準備や当日の運営が難しそうと感じる人が出てくるかもしれない。役職の名前をカッコよくして、やる気を出してもらおう。あと、ミーティングの回数や全体スケジュール感を用意することで、「出来そう!」と思える雰囲気をつくり出そう。運営当日は、外部の人と絡む機会を多めにして、もちろんそっちのやる気も。
→【決定】できるだけ楽しくやれるような施策・雰囲気を出す。
⇒【大枠の決定事項①】作業工程は、「出来そう!」と思える内容にして、さらに「準備」では自由度があり、「当日運営」では居るだけで良い・簡単なチェッカーの担当数を出来るだけ多く設定する。
シン制限②:
謎解きの内容を「学校プロモーション」になるようなものにする。 の範囲内で考えると、出来るだけ最初に学校紹介になるものを入れよう。もちろん、その部分も謎解きに関与しないと。読んでもらうために。では参加者の想定をしてみよう。学校紹介になるのであれば、参加者はこの学校を受験する可能性がある人。中学校だと小6か。いや。小6は受験勉強で来れないのかもしれない。じゃあ、小5かな。これで学校からの評判ももらえて、予算も。。。
⇒【大枠の決定事項②】学校紹介を序盤に出来るだけ入れ、謎解きの対象年齢を小5からに設定する。
シン制限③:
会場をダンボールで区分けすることで、人の流れをつくる の範囲内で考えると、2つくらいは謎解きができるかな(STEPが2つくらい出来るかな)。参加者が一部の場所に滞留すると、次の参加者がスムーズに入れないので、机を用意しよう。そして、STEP 2では時間制限を設けて回転率を上げよう。
⇒【大枠の決定事項③】STEPは2個程度。ホール型(テーブル型)公演。前半で参加者の満足感(謎解きやった感+学校の雰囲気感)を上げて、後半は時間制限アリで回転率を上げる。
まとめると、
【大枠の決定事項①】
作業工程は、「出来そう!」と思える内容にして、さらに「準備」では自由度があり、「当日運営」では居るだけで良い・簡単なチェッカーの担当数を出来るだけ多く設定する。
【大枠の決定事項②】
学校紹介を序盤に出来るだけ入れ、謎解きの対象年齢を小5からに設定する。
【大枠の決定事項③】
STEPは2個程度。ホール型(テーブル型)公演。前半で参加者の満足感(謎解きやった感+学校の雰囲気感)を上げて、後半は時間制限アリで回転率を上げる。
ここで、更に大枠を作り上げる。@お風呂のなか
これはもはや、謎解きを作るのではなく、公演を創る必要があるな。とにかく、謎解き部分はどこで何の紙や情報が必要なのかわかりやすくまとめよう。また、当日運営で支障をきたさないように参加者の進捗管理の方法も決めよう。あとは、各配役の行動のフローチャートとセリフ集もつくろう。そして教室全体のレイアウト、当日の配役の位置、そしてミーティングの内容、役割分担(準備、当日運営)の分け方、各役割(準備)のミッションもつくろう。
さて、それでは謎解きの内容を考えようか。
どんな話にしようか。ただ、学校紹介を入れ込む必要があるから、最初の場所は「学校の教室」にしよう。んー最近の話題はなにか。学校といえば、最近は小学校でも英語を習うようになったんだよなー。そうか、じゃあ異文化交流、分からない言葉・相手との接触をテーマにしてみるか。ここは大きく、相手は異星人にしよう。最終対決は異星人と。でも実力行使だけでなく、ときには協力することも必要なんだよ、っていうメッセージを込めようか。いや、求めすぎかも。んーそれならば、異星人に関するいろいろなウワサが世間では流れているが、謎解き(ストーリー上は「解析」)をしていく中で、真実を見つけ出し、最後にはハッピーエンドになるように、なんやかんやしよう。
ちょっと真面目に考えるか。
Final STEPは、当初の目的である魔王を倒す。のではなく、その裏にいた本当の敵を倒すこと。にしよう。となると、制限時間アリの部分は言語解析と情報整理かな。言語解析は、最初のステップにも入れよう。
1st STEPは、カギの数字を求めてもらうか。異星人のひとりを捕らえたという設定にしようか。その異星人と会うためにカギの番号が必要ということにしよう。謎解きには、学校プロモーションを入れる。あとは、言語解析の方法も入れよう。あとは、魔王の悪いウワサもここで入れなきゃな。
(のぼせたので、お風呂から移動)
具現化 ―小謎~ギミックの作成
今までまとめてきたものを、実際にキットとして作成していきます。事前説明の部分にウワサを入れちゃおうか。もう、設定は未来。宇宙船が来たということにしよう。
参加者が知り合いとは限らないから、注意事項はちゃんと記載しよう。もちろん後夜祭での最優秀企画にしてもらうための宣伝も入れて。
最初に渡すものに異星人の言語の解析方法を載せておこうか。星の名前はてきとうに。異言語だとしても、出来るだけ馴染みのあるものにしよう。音符使ってみようか。
まずは、捕らえた異星人に会えるようにするために監視部屋のパスワードを考えてもらおうかな。まあ、実は参加者の実力を試すために、やらされていたという設定にしておくか。
あとはここで、学校紹介の部分を絶対見てもらうようにしよう。
暗号3つを作ろう。参加者のチームのメンバーは少ないから、バラバラに解くのではなく、同じ問題を一緒に解いてもらう形式にしよう。学校っぽく、教科にしよう。英語と理科と社会かなー。紙の表裏両方を使って、さらに黒板に書いてあるものも活用して解けるようなものにしようか。(作成した一部を示します)
そうだなー。せっかく参加していただいたので、お土産・思い出になるようなものが欲しいなー。じゃあ使えそうなオリガミするかー。
オリガミの指示を、異星人語にしよう。これで、知らない言語を解読する楽しさが伝わればいいのだけれど。
最終的にはこんな形に作ってもらおう。実は、用紙の角にスポッとはまるんだよねー。これで、書類整理も簡単!! 再利用もしやすい!!
さて、後半部分は制限時間を入れて、回転率を上げよう。この日本語変換表の文字を入れかえると、文章になるってトリック、気づく人いるかなー。ちょっと粗いけど、入れよう。
あとは、ラス謎をキッチリしよう。
我々の教室に、宇宙船が衝突してきた。調査の結果、ノズエ星の船だと判明。ノズエ星の魔王が侵略しに来たのではないかとウワサされている。しかし、謎解きをするうちに、ノズエ星人はむしろ何者かにやられていることに気づく。そして地球もミョウジハントによってピンチの状況。この状況を打破するためには、なんと魔王にやられている魔法を解除することだった。という設定にしようか。
そうなるように、内容を整理しよう。
終わったー。
え、まだ、参加者の進捗管理の方法、各配役の行動のフローチャートとセリフ集、教室全体のレイアウト、当日の配役の位置、そしてミーティングの内容、役割分担(準備、当日運営)の分け方、各役割(準備)のミッションも!?
公演を創るのって大変だ。(これらの作った中身を見たい方はこちらからどうぞ。)
もしかして、この部分が一番読みたかったところですか?
工夫、というか配慮したことは、学園祭での使用を想定しているため、白黒もしくはグレー印刷でも公演が出来るように設計したこと。わらばんしでもできる。
極力印刷量を減らすため、折り紙部分以外は最大収容チーム分のみ印刷し、使いまわしが出来るようにしていること。しげんをむだにしない。
一部、両面印刷が必要だが、片面印刷を2回することで代用が可能にしていること。もしかしてがっこうのぷりんたーってりょうめんいんさつできないのかも!?
対象年齢を小5以上と想定しているため、小5以降に習得する漢字にはすべて読み仮名を付けていること。もじがよめないと、とくきなくすもん。
とか、他にもたぶんあります。
デバック
残念ながら、一度もやりませんでした。
やった方がいいよ!
最後に
私の作った手順を紹介させていただきました。お読みいただきありがとうございました。なお、今回は自分で学園祭で「謎解き」やりたいなーと思って作成をしましたが、最終的に自分の中でボツにしました。ここまで考えて、やっぱり謎解き公演を作るには、「謎解きがやりたい!」という同士と一緒にやった方が絶対楽しいと思ったからです。ただしこの謎解き自体は、学生に限らずどなたでもご利用ください。
あーありがとうございますー! 今、1年分のデバックをいただきました! ありがとうございますー! こんなんなんぼあってもいいですからね! ―――完
目 次
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