これは、私がかくかくしかじ課に戻ってきて1ヶ月の間に起こったことです。あなたは、不正解のルートをたどらずに進めることができるでしょうか。私は残念ながらできませんでした。その自戒の念を込めて、この出来事を振り返ります。
なお、このお話はフィクションではありま・・・
人物相関図
登場人物
いやがらせ上司(いがらせ)
私の上司。私に対して、日々、いやがらせを繰り返す。かくかくしかじ課の課長であり、実権を握っている。自分のポジションが危ぶまれる状況になると高圧的な態度を取ってくる。作業の効率化と上司をおだてることが得意なチームのまとめ役。出勤は始発で。テレワークでも仕事は朝6時から。
ねちねち上司(ねっちー)
私の上司2。私に対しては基本的に干渉しない。私がいやがらせ上司からいやがらせを受けていることは人づてに聞いているが、自分の成果に影響を与えない事象には干渉しない。徹底的な成果主義であり、途中経過を上司に報告しないため、私の成果がここで滞留していることがまれによくある。まれによくあるってなんでしょう。
私
いやがらせ上司とねちねち上司の部下。当初はいやがらせ上司の直属の部下であった。訳あって私がかくかくしかじ課を離れており、約2年後にこの課に戻ったときには、いやがらせ上司はリーダーになっており、私はねちねち上司の部下になった。
いつもの「いやがらせ」
私がこの課に戻ってから2週間。既にいやがらせを受けている。そして次の2週間。またもやいやがらせの時間が始まる。
ようやくクラウドに保存されたフォルダ構成が分かってきた。そしてすぐに気づいた。明らかにこの2年間でなにも進んでいない。フォルダの更新がほとんどされていない。どうやら別の問題が発生し、かくかくしかじ課としてはずっとそちらに対処していた。ということになっているようだ。それにしても、その新しく発生した問題はほとんど道筋が見えており、なんでこんなに進捗が遅いのか、いやがらせ上司のいがらせリーダーに聞いてみることにした。
もちろん、そんなことはしない。なんでこんなに進捗が遅いのか、はなはだ疑問ではあるがそのような質問はしない。リスク回避だ。
そして、初めての週報(近々1週間の進捗状況、今後の予定を報告する会議)がリモート会議で行われた。そこで、私は近々1週間の成果報告を行った。
そんな資料どこにあるねん。と言う気力もない。そこにあるのは「虚無」だ。
いがらせリーダーのいつものマウント臭。さて、当然分かっているかと思いますが、特に指示されていませんが、デュラムセモリナ粉を使って検討する必要がありました。
ぺろっ…こ、これは、デュラムセモリナ粉!
過ぎたことは仕方ない。ひとまず、会議終了後に現場に向かい、デュラムセモリナ粉の保管場所を確認した。確かにある。なぜか小分けされているが。翌週の試作から、このデュラムセモリナ粉を使用することにした。
はぁ、まったく、また試作をイチからやり直しだ。一週間で試作できるのはせいぜい1水準なのだが、私は作業効率化により一週間で3水準できるような体制を作っていた。そのため3倍のペースで進められるのだが、イチからやり直しになったので、ロスも3倍だ。SDGsとは。
SDGs: Sustainable Development Goals (持続可能な開発目標), 読みはエスディージーズ
2年前には無かった新しい機器をだましだまし使っているが、まだ使い方が正確には分かっていない。それでもあの瞬間はやってくる。お昼ご飯を食べて、新しい機器がある部屋に行くと。そう。そしてその瞬間は訪れました。
新しい機器が 緊急停止 !
意味不明だ。確かに今日、電源を入れて動かし始めたのは私だ。だが、定常作業を行っており、変なことはしていない。いや、機器が汚れていたので、清掃するために最初に少しいじった。でもしかし…
そこに現れたのは、いがらせリーダーだった。もう相談するしかない。
どこまでも私のせいにしようとしている。ちなみに、機器のある部屋は他の課員も使用するので、当然、他の課員もいる。
しかし、私にも意地はあります。明らかに私のせいではない。そう確信している。なぜならば、取扱説明書の通りに定常作業を行った。もちろん清掃作業も。
――ときはこの日の朝。
どうせ、いがらせリーダーはこの新しい機器でいやがらせをしてくるに違いない。ならば、この新しい機器の取扱説明書をちゃんと読んでおこう。ついでに清掃もしたいし。まず、この部屋にいる他の課員に聞いてみた。するとこの課員が言うには、新しい機器を使用してはいるが、取扱説明書は見たことがないという。なん…だと…!? ――いやいや、ここで諦めるわけにはいかない。私はこの部屋にある引き出しという引き出しをすべて調べた。すると、その機器が置いてある場所とは全然違う引き出しの中に、取扱説明書があることが分かった。取扱説明書には、どんなときにエラーが出るのかQ&A形式で書かれていた。そう。この機器は汎用品ではない。オーダーメイド品なのだ。そのため汎用品ではエラーにならないが、このオーダーメイド品ではエラーになる使用条件も記載されていた。そう。たぶんいやがらせを受けるとしたらここだ。そう思った私は、このQ&A部分をすべて覚えた。
さて、ときを戻そう。
いがらせリーダーに、エラーの原因は私ではないと訴えた。取扱説明書の通りに作業したし、エラーが起こるはずはないと。するとさすがに分が悪くなったのか、いがらせリーダーはプリプリ怒りながら、大きな声で捨て台詞を言って去っていった。
んー。あなたの言う、「こっち側」から開けた覚えはないし、そもそも私が作業している間はエラーは出ていない。エラーが出たのはおそらく私がお昼に行っていた間だ。まぁ、争っても時間のムダだ。そんなことより試作を始めないと成果が出ない。そしていがらせリーダーが去った後、機器を再起動し、試作を始めようとした。そこで機器の異変に気付いた。
明らかに、「こっち側」のネジが緩い。なるほどね。つまり、私がお昼に行っている間に「こっち側」を開けて、機器が緊急停止したのね。誰がやったとは言わないけれども。なんといういやがらせ。あきれ過ぎてなにも言えない。
事実として残ったのは、私が新しい機器の「こっち側」を開けて緊急停止させたんじゃないかと、いがらせリーダーが他の課員も大勢いる部屋の中で言ったということだけだった。ここだけ聞いた課員は、どう感じただろうか。やはり私のせいだと思っただろうか。私は機器すら使えない人と思っただろうか。いずれにしても、すでに私には挽回の余地はなかった。
翌週に開催された週報
さて。それはそれ。あれはあれ。何はともあれ、デュラムセモリナ粉を使った結果を報告する時がやってきました。そう。そしてその瞬間は訪れました。
別にそれじゃなくてもいいよ。
えっ。――そうです。あの先週の週報で、直接的な指示はなかったのです。そもそもデュラムセモリナ粉を「今」使っている背景をちゃんと把握していなければならなかったのです。
それでは整理しましょう。
私は、昨週の週報で、いがらせリーダーに「今はデュラムセモリナ粉だよ?」と言われました。そのセリフから、①ねっちーに依頼されたデュラムセモリナ粉の保管場所を確認し、②新しい機器を使ってエラーが出ないようにしながら、③そのデュラムセモリナ粉を使って再検討をする、必要がありました。が、③はさらに、過去にデュラムセモリナ粉を使って検討した資料を確認して背景を把握する必要がありました。そこは私の過失ですね。
そう。デュラムセモリナ粉を使って検討した資料を確認すると、背景はこうでした。
まず、デュラムセモリナ粉を使ったのは1年前でそれ以降検討をしていないということ。そもそもデュラムセモリナ粉を使おうとなった理由は社外のとある情報源から得た情報であるということ。つまりそれがスタンダードなのか、「今」使われているのかは不明だということ。そもそも保管されていたデュラムセモリナ粉自体が、そのとある情報源から入手したものであったということ。つまり中身が本当にデュラムセモリナ粉なのかすら確認していないということ。――つまり、好きでもないのに蓼(たで)を食っていたということでした。
蓼食う虫も好き好き
「蓼」とは、高い店の刺身の盛り合わせに大根のツマと一緒に添えられている小さな赤紫色や緑色の小さい二葉の芽のこと。人間には、食べるとすこし苦くて辛く感じるため苦手な方もいるが、同じようにたいていの虫は好まずに食べない。しかし、ハムシ科のいくつかの昆虫は食べるそうだ。
このように、苦くて辛い葉を好んで食べる虫もいることから、好みというのは人それぞれであり、一概には推し量ることはできないということを表しています。どちらかというと他人の悪趣味について言うことが多い気もするようなしないような。
蓼食う虫も好き好きというが、あいつまだタピオカにハマってるんだってよ。――私だ。
正解のルート
そもそも、最初の週報のときに、デュラムセモリナ粉の過去の報告資料は無いということを知っている必要がありました。ねちねち上司に「確認してください。過去の報告資料も。」と言われたときに即座に反論をしなければなりませんでした。(ねっちーのセリフの下にボタンがあるのですが、そこをクリックすると反論ができるようになっています(笑えない))
つまり、いやがらせ上司に相談したこと自体、あの週報で成果報告したこと自体が不正解だったのだ。
それにしても、戻って1ヶ月でこんなにいやがらせされることあるかね。
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