第一夜
きのこ汁
~田舎っぺうどん
目 次
麦の香る故郷で、コシのある一杯を
埼玉県北西部、そして東京都西部の一部に根付く「武蔵野うどん」。冷たい水でギュッと締めた太くコシのある手打ち麺を、熱々のつけ汁で食べるこのスタイルは、つけ麺ブームが世に出るずっと以前から、この地にあった“日常のごちそう”だ。中でも、埼玉県民のソウルフードとして名高いのが、「田舎っぺうどん 」(通称、田舎っぺ)。この店には、埼玉の“うどん文化”を象徴するような力強さと素朴さがある。
「きのこ汁」ひとすじ。冷たい麺と熱いつけ汁の妙
「田舎っぺうどん 」でぜひ味わってほしいのは「きのこ汁」。つけ汁は醤油ベースで、椎茸、ネギ、油揚げがふんだんに入っている。決して派手ではない。けれど、口に運べばその滋味がじんわりと染み渡る。何とも落ち着く味だ。そしてこのつけ汁に絡むのが、主役である手打ちうどん。手打ちならではの不揃いな太さと、ひやもり(冷水で締めた麺)特有の力強いコシが、なんとも言えない食べ応えを生んでいる。正直な話、一度食べればやみつきになる人が多いのも頷ける。地元に住む友人は「”田舎っぺ”のきのこ汁がないと冬が越せない」とまで言っていた。
飾らない、でも離れがたい。田舎っぺの魅力
麦畑の中に、うどんの記憶
「田舎っぺうどん 」が“埼玉県民のもの”であり続ける理由のひとつは、その立地にある。駅から離れた郊外。車がなければ辿り着くのが難しい。だからこそ、地元民にとっては誇らしく、都心の人にとっては“ちょっと遠い特別な場所”として在り続けている。
5月、JR宇都宮線(通称、ミヤ線)で帰省すると、車窓から見える黄金色の麦畑に目を奪われる。ああ、帰ってきたな——そんな郷愁が胸を満たす。そして思う。この土地は、やっぱり“うどんの国”なのだ、と。
チャーリーのオモヒノカマエ
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