伊勢うどん
伊勢神宮の門前町で供される、伊勢うどん。
黒く濃厚なつゆ(タレ)と、極めて柔らかい太麺が特徴のうどんである。
伊勢市内にうどんを供する店は余多(あまた)あるが、ここ「まめや」の麺はその中でも特に柔らかい。極めて柔らかくもちもちしたコシのない麺が提供されている。そしてそれが病みつきになる。
つゆの感動も語らずにはいられない。伊勢うどん独特の黒く濃厚なつゆ、見た目は濃厚だが、食すと濃すぎることはない。柔らかいやさしい味。つゆも飲み干せてしまう。濃厚な見た目とは裏腹のつゆである。
お店のホームページによれば、
めんは、三重県産“あやひかり”を使用
たれは2種類の削り節(紀州の宗田節、笹節)から時間をかけて取るだしと、地元、度会郡玉城町【ミエマン醤油西村商店】のたまりと、濃厚な合わせ醤油を使用
麺は製麺した後に1時間ゆで、1日冷蔵庫で寝かせあえてコシをなくしてから提供するそうだ。なるほど、それで太く柔らかいもちもちした食感になっていたのか。そして黒く濃厚なつゆは、深いこくと風味が口いっぱいに広がる。
きっかけは田舎っぺうどん
武蔵野うどんを産湯にして育った私にとっては、コシのないうどんと黒く濃厚なつゆは受け入れられないものと思っていた。事実、初めて伊勢神宮に参拝した折にJR東海ツアーズの旅行商品に付いていた無料券で食べた、あるお店の伊勢うどんは想像した通りの味だった。コク・深みのないただ濃いつゆとコシのない麺。武蔵野うどんびいきの私には合わないという感想だった。
しかし、次の機会にはぜひ「まめや」の伊勢うどんを食べてみたいと思った。なぜなら第一夜で紹介した「田舎っぺうどん」のテーブルの上に全国七大うどん比較という雑誌の記事が置かれ、そこに「田舎っぺ」と並列に「まめや」が書かれていたからだ。
大好きな田舎っぺと同じ扱いの「まめや」は美味しいに違いないと思ったのだ。
「まめや」は最初に食した伊勢うどん屋と全く違っていた。やさしく深い。言うなればおふくろが出してくれるような味である。やはりここは美味しかった。感動した。会計に進むとさらに驚くことがあった。JR東海社長(当時)の松本 正之氏の紹介記事が掲げられていた。同氏は伊勢市出身の人物である。伊勢市出身の経済人もお勧めするお店だったのだ。
JR東海ツアーズの無料券がこっちだったら、私は最初から来たのに。。。と思ったが、神宮への動線にないから仕方ないか。得てして、うまいお店は観光客の通らない動線上にあることが多い。
私は伊勢参宮で、1泊2日すると必ず2回「まめや」に足を運ぶ。そして、必ず玉子伊勢うどんを頼む。卵でとじたこのやさしい味がとてもおいしい。はまってしまった。
まめやの紹介記事には「カレーうどん」がよく出てくる。同店のファンの多くがお勧めしている。しかし私は玉子伊勢うどんが好きすぎて、なかなか飽きない。今度こそは「カレーうどん」を頼みたいと思っているが、それはいつになることか。
チャーリーのオモヒノカマエ
創業大正12年、古の味をそのままに。
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